■講座内容
印刷が発明されるまでの時代、本は手で書かれており、それを写本と呼びます。
本講座では、14~15世紀に制作された、装飾写本を再現するための技法の習得を目指します。
羊皮紙に、金や顔料を用いた美しい文様や細密画を描き、自分で削った羽ペンで、その時代と地域で
用いられた文字を正しく筆記しましょう。14世紀に至るまでの、ローマ時代に始まった10世紀以前の
ヨーロッパのラテンアルファベットを理解して、美しく筆記し、ペンによる文字の装飾も学びます。
また、細密画を描くための紋章学の理解や、羊皮紙の種類による扱いの違い、中世時代のインク作り
金箔を貼るためのいくつかの古典技法による下地の再現など、学ぶことは多岐に及びますが
受講生の目的やレベルに応じて、好奇心を刺激しながら、根気強く楽しく学んで行きます。
【制作手順】
・初回は、全ての受講生に「写本模写のための準備の講座」を受講していただきます。
現代ではカリグラフィーと呼ばれる、西洋の文字を美しく書くための道具や材料について、古典技法
を再現するための基礎知識と実践、これから始まる制作に向けての受講生ごとのカリキュラムを相談
しながら、基本的な筆記とビルトアップのイニシャルを一つ描いて、色の扱いについての知識を確認
します。
・羽ペンと中世時代のインクによる筆記の場合、中性紙での筆記の練習を経て、羽ペン作り、インク
作り、羊皮紙による筆記の準備、筆記という順に進みます。個人の習熟度により、現代の金属のニブ
を使っての練習や、文字を理解するための座学も組み合わせながら進めます。
・飾り文字入りのページや、カーペットページの模写の場合、筆記部分を完成させてから、文字と装飾
のスタイルの理解を経て、必要な材料や絵の具を作って制作します。材料作り、又はデザインの再現
のどちらに重点を置きたいか、受講生の希望により制作手順を相談して目的にかなうカリキュラムで
進めます。
■講座概要
曜日:第4月曜日
※第3になる場合もありますので、カレンダーをご確認ください。
時間:13:30~16:00、17:00~19:30の2クラス
※1クラスだけでも、もしくは連続して2クラスの受講ができます。
受講料(税込):入会金¥10,000(税込み・入会時のみ)
毎月1クラス7,000円、2クラス連続は12,000円
持ち物:初回は全て講師が用意します。手ぶらでお越しください。
※2回目以降、ご自分の道具を必要に応じてご持参いただきますが
出来るだけ持ち運びに負担の無いよう相談の上、貸出し可能な道具類は
クラスで準備致します。
申し込み方法:お申し込みはこちらから
見学:30分程度。見学希望の方は、お気軽にご相談ください。
■講師 李家裕子(りのいえ ゆうこ)
1967年 京都市生まれ
1986年 京都精華大学美術学部デザイン科入学
1995年 フランス料理店カフェアンティム マダム
2003年~ 紋章学、カリグラフィーをMuriel Gaggini氏に師事
以降、国際交流活動にて作品参加。
各国大使館、日本国外務省等より感謝状多数。
2008年~ テンペラを石原靖夫氏に師事
2010年 パリ国立図書館写本室 研究資格取得
以降、技法研究のため3度渡仏
2012年~ 羽ペンの再現のため、福島県いわき市に移住。
山奥のアトリエで七面鳥やガチョウを孵化から育て、羽ペンを研究。
現在、いわき市教育委員会非常勤職員として勤務の傍ら、西洋装飾写本古典技法研究、指導にあたる。